変わり者の寄生虫学者である宍戸玲奈(ししどれいな)の助手である浜田透(はまだとおる)は、感染症研究センターに向けて車を走らせていた。

玲奈が恋人だった本田宗一(ほんだそういち)の死の真相を確かめるためいなくなった。慌てて透も玲奈のもとへ向かっているのだ。

「あいつ、殺されてたりしないよな……」

頭の中に嫌な予感が次々浮かんでいく。透は頭を振って運転に集中した。いつの間にか雨が降り始め、視界がグッと悪くなっている。

感染症研究センターには明かりがついていた。誰かがいることに透は驚きながらも、大きな門の呼び鈴を鳴らす。

「はい」

呼び鈴に出た声は、透の友人である倉木洋一(くらきよういち)だった。透は知り合いが出たことにホッとしつつ、口を開く。

「宍戸がこっちに来ているはずなんだ。そこにいるんだろ?」

「えっ、宍戸さん?来てないけど……」

洋一の言葉に透の不安は募る。何度洋一に訊いても洋一は「来ていない」の一点張りだ。