「くっ……」


万姫の首筋に、血脈の集いに、サジェスの犬歯が食い込む。

「ーーのう、知って…おるか」

余裕の表情を装い、万姫は問う。

ジュルリと、どことなく卑猥な音が、サジェスの口から漏れている。

「人間には、…稀に…」

「まずっ…」

「吸血されるこ…とに、快感…を、覚えるものがおること」

「はあっ……、そんな女、昔いた」


犬歯と首筋の隙間に、鮮血がのぞく。

涙の様に垂れるそれを、サジェスは指でなぞる。


「主は…指からも、吸い取れるであろう…」

「痛みに抗おうとする奴の顔が好きだから」


はあっ、と、万姫は荒い息を吐く。

サジェスの喉が上下し、犬歯が抜ける。