万姫の唇が、サジェスの唇をふさぐ。

「苦い」

唇を離し、そんなことを言うサジェス。

「すまない、煙管をふかしたからのう」

口だけ謝るものの、全く悪びれない万姫。

「まあ、別にいいけど」

再び、唇が重なる。


万姫の舌が、サジェスの口内に入り込む。

サジェスは目蓋を伏せる。

万姫の舌は長く伸び始め、サジェスの体内に入り込む。


やがてーー


舌はサジェスの心臓に絡みつき、一気にもぎ取った。



心臓を絡めた舌が、再び戻ってくる。


サジェスの頬が膨らむ。


青白い頬が、膨らむ。



ゴクンッ…。



万姫の喉が上下し、バタリと力尽きたようにサジェスは仰向けに倒れこんだ。


「終わった?」


白魚の指を胸元に押しあて、サジェスはだるそうに問いかけた。

「うむ」


こくりと頷き、ペロリと舌なめずりをする万姫。