「腹が減った」 赤い舌を唇の隙間からしのばせ、影 万姫 は呟く。 「ここのところ早くないか?」 薔薇のトゲを取りながら、呆れたように尋ねたサジェス・ブラド。 「百年も経てば人間だらけだ」 「要するに餌だらけ、というわけか」 薔薇の花弁を1枚唇に挟み、つまらなそうにサジェスは呟く。 此処は、神魔宮ーしんまきゅうー サジェスと万姫の憩いの場だ。 大いなる力を持つ、“人外”が訪れる宮殿だ。