「うぅぅ……!」


やだ、暗いのも苦手なのにっ。


「入るよ?」


こわごわといった様子でドアが開く音がした。


「綾乃、どこ?」

「ち、かげ、くん……っ」


窓際でうずくまるわたしの前に大きな影が現れる。その影がゆっくり近づいてきて、わたしのそばにしゃがんだ。


「大丈夫?」


「うっ……」


怖くて無我夢中で千景くんにギュッとしがみつく。


ギュッと精いっぱいしがみついて、目を閉じた。


「綾乃。もう大丈夫だよ」


トントンと優しく背中を叩いてくれる手の温もりに、安心感がじわじわと広がっていく。