「し、失礼、します」
素直に足をかけて車内に入る。
緊張してガチガチに固まるわたしを見て、あとから乗り込んできた千景くんがクスッと笑った。
「力抜いて楽にして?」
「だだ、だって、リムジンって慣れないよ……」
背もたれに背中をつけるのさえためらわれる。
「毎日乗ってたら慣れるから大丈夫」
「っ……?」
ま、毎日……?
そういえば、さっき登下校は一緒にって約束したんだ。
「こんなに優遇されたら、バチが当たりそう……」
リムジンが走り出して、わたしはようやく肩の力を抜いた。
なにこれ、乗り心地が最高すぎるっ……。
走行音や振動がほぼなくて快適。シートもふかふか。
なんだかこうしていることが未だに信じられない。
昨日から色々ありすぎて、なんだか夢の中にいるみたいだよ。



