そのあと千景くんを迎えにきたというピカピカの黒い高級リムジンを見て、わたしは目を瞬かせた。


す、すごいっ!


「さぁ、どうぞ」


ドアを開けて先にわたしに乗るようにと声をかけてくれる千景くん。


「ちち、千景くんから、どーぞ」


「なに言ってんの、俺が見守ってなきゃ転けちゃうくせに」


「こ、転けないよっ……!」


「昔からドジだったろ。いいから先に乗って」


「……っ」


ドジでおっちょこちょいなのはそうだけど、先に乗れと言われましても。


「ほら天気悪くなってきた。雨降りそうだからさ、ね?」


見上げた空にさっきまでの青さはなく、どんよりとした雲が浮かんでいる。


たしかに、雨が降り出しそう。