「どうしたの?」 それでもわたしの視線には気づいてくれるなんて、嬉しすぎる。 「人気者だなって」 周囲に目配せして、ちょっとうつむき気味に歩いた。 すると、腕が伸びてきて千景くんの指先がわたしの顎をとらえた。 クイッと上を向かされたかと思うと、それはもう一瞬のできごとで。 妖艶に微笑む千景くんの顔が迫ってきたかと思うと……。