「は、はぁはぁ……っ」


プハッと顔を出してから酸素を体内に取り込む。


く、苦しかった……。


死ぬかと思った。


た、助かった。

「げほっ、ごほっ……っ!」

「大丈夫か!? 綾乃!」

「はぁ、はぁ……う、うん……っ」

「しっかりしろ!」

「大丈夫だよ、ありがと……」


やっぱり、千景くんだったんだ……。


ライトに照らされた千景くんの顔には心配の色が浮かんでいる。

わたしはそんな千景くんに心配しないでと微笑んでみせる。



「はぁ……マジでよかった……っ」


「千景くん……」


「ひとりで無茶しすぎなんだよ」


コツンと後頭部を小突かれた。


「ごめんね……」


「心臓が止まるかと思った」


「お、大げさだよ」


「本気で言ってるんだけど」


うっ、ものすごい迫力……。


「ご、ごめんね、わたしの心臓が止まるかもっていう心配までさせちゃって……」


「いやいや、俺の心臓が止まるって話。よかった無事で……ほんとに」


千景くんはそう言って安堵の息を吐いた。