「まずは、敬語をやめてくれる?」


「敬語を、ですか?」


「ほら、言ってるそばから。綾乃に敬語使われるの、すっごい変な感じがする。同い年なんだし、ほんとやめて」


「す、すみません」


「次に敬語を使ったら、その口塞いじゃうよ?」


へっ?

とても冗談には聞こえなくて、ポカンとする。


口を塞ぐという実際の行動がどんなものなのかはわからないけど、なにかよくない企みがあるというのはわかった。


千景さんが口角を持ち上げて、それはそれは楽しげに笑っていたから。