「千景さん、お誕生日おめでとうございます。プレゼントにダイヤのタイピンをお送りさせていただきましたわ。世界にひとつしかないオーダーメイド品ですのよ」
やっと話しかけられる!
そう思ったのに、後ろからきた同い年ぐらいの女の子に先を越されてしまった。
背中が開いた大胆すぎるドレスを着たその子は、千景くんの腕を取って可愛く笑っている。
「そのタキシードもよくお似合いですわね」
「それはどうも」
きれいな女の人ににこやかに応じる千景くん。
ダイヤ……。
オーダーメイド。
世界にひとつという点では同じでも、わたしのプレゼントと比べると天と地ほどの差。
不格好な手作りのブレスレットなんて、千景くんは喜ばないんじゃ……?
手作りクッキーなんて、いかにも庶民が考えそうなものだよね。
ミシュランの三ツ星を獲得したホテルのスイーツの方がいいに決まってる。
わたしなんてやっぱり、千景くんには似合わないよ。



