「お祭りのとき、あなたをお見かけしたの。そのときあたしはちかくんと一緒にいたんだけど」


「え? あ……」


お祭り。


そっか、千景くんと一緒にいたのは夏さんだったんだ……。


あのときは暗くて顔が見えなかったけど、すごく可愛い女の子だ。


こんな子が隣にいながら、わたしを好きだと言ってくれた千景くん……。


チョイスまちがってませんか?


シュンと肩を落とす。


「安心してね。あたしはすでに振られてるから」


夏さんはわたしにそう耳打ちすると、屈託のない笑顔で微笑んだ。