「綾乃」


不意に顔を上げたら、千景くんがすぐそこまで迫っていた。


──チュッ


小さな音を立てて触れる唇と唇。


「なっ……!」


「じゃ、おやすみ」


千景くんはオロオロするわたしに手を振り、笑顔まで浮かべて颯爽と去っていった。