「綾乃?」


「わぁ……!」


──ガタンッ


立ち上がった拍子に椅子が後ろへ倒れた。


手にしていたものを、慌てて引き出しの中へ滑り込ませる。


「ノックしたんだけど聞こえなかった?」

「うん、まったく!」

「すごい驚きっぷりだったもんね。なにしてたの?」

「え、いや、あはは。なんも!」


笑ってうまくごまかした。