だけど、千景くんにもっと触れたい。 触れてほしい。好き、だから。 「顔、上げて」 わたしを抱きしめる腕の力をゆるめて、上半身を離してくる千景くんの顔をじっと見上げた。 男の顔をした千景くんに見つめられて、鼓動が大きく飛び跳ねる。 風にゆれてなびくブロンドの髪も、甘く整った顔立ちも。 千景くんの全部が、好き……。 ゆっくり顔が近づいてきたかと思うとほんの一瞬だけ唇が触れて、短いキスが降ってきた。