「はい、タイムオーバー。3分経ったから、綾乃は返してもらうよ」 「ち、千景くんっ……!」 「ほんとは1秒でもあげたくなかったけど」 校舎の影からいきなり姿を現した千景くんが、わたしの肩を引き寄せた。 「俺と綾乃は、誰にも邪魔できないような熱い絆で結ばれてるから。悪いけど、潔く諦めて」 「熱い絆、ね」 今野くんは後ろ首をかきながら、千景くんの登場に驚く素振りや嫌悪感をあらわにすることもなく。 大きなため息を吐いてから、一瞬だけわたしを見て、そして千景くんに向き直った。