「綾乃はそこまで俺のこと好きじゃない?」 「それとこれとは、べつ……っ」 千景くんは慣れてるのかもしれないけど、わたしはまだそういう経験がないんだもん。 「わかったよ。こういうのは無理強いするもんじゃないしね」 ホッ、わかってくれた。 そう思って胸を撫で下ろした瞬間──。 「今はこれで我慢する」 無理やり千景くんの方を向かされて、頬に柔らかい衝撃が走った。