綾乃……っ! どこにいるんだ……? 綾乃が行きそうな場所を考えてみる。 「もしかしてっ!」 体力には自信があるし、ある程度の距離を走らないと息切れしないこの俺が、敷地内の短距離で呼吸を荒くしてるなんて。 どんだけ必死なんだよ。 綾乃の前だと冷静さを失ってカッコ悪い姿をさらしてばっか。 「はぁはぁ。綾乃!」 ──ガサッ 昔一緒に遊んだ噴水のそばまできたとき、地面を踏む足音と葉っぱの擦れる音がかすかに聞こえた。