「ちかくん!」


しばらく歩くと夏が走ってきて、俺の前に回り込んだ。


「ちかくんのこと、春なりに心配してるんだと思うんだ……だから、悪気があったわけじゃなくて」


ごめんね……と力なく夏が謝った。


言い合っていても、2人の仲の良さは俺も認めてる。


喧嘩するほどなんとかってやつ。

春も春で夏思いだし。


「俺はあいつに怒ってんの。夏は関係ない」


「うん……わかってるよ。ちかくんがそこまで取り乱すの、珍しいよね……」


だんだんと小さくなっていく夏の声。