「お前、さっきの気にしてるわけ?」


「…………」


さっきの……。

思い出すと胸が締めつけられて、息ができなくなる。


「なに? さっきのって」


「夏は黙っててくれるかな。話がややこしくなるから」


「春には聞いてないっ。ちかくん、なにがあったの?」


「ちか、女なんて誰でも一緒だよ? 適当に相手して、気に入った子と軽く遊べばいいんだって。本気になっても、面倒なだけ」


「うっわ……最低っ! 女の敵!」


「あの程度の子なら、どこにだっているじゃん。本気になる価値ないだろ。大して可愛くもないし、性格だって」


他のどんな言葉は聞き流せても、綾乃を侮辱するような発言だけは我慢ならない。