──そんなこんなで1週間。
テストが近いので最近ではもっぱら図書室に残って毎日のように勉強している。
そうすれば千景くんのことを考える時間が減るから……。
「お疲れ」
「あ、今野くん」
テスト間際で部活も免除期間に入ったため、今野くんは毎日のように図書室に通っているらしい。
参考書とにらめっこしていたわたしに声をかけてくれて、時々一緒に勉強したりしてるんだ。
わからないところを教えてもらったりしながら平和な時間を過ごして、気づけば最終下校時刻が迫っていた。
「桐ケ谷のことで元気がないんだろ?」
生徒玄関に着いたとき、唐突に今野くんがそんなことを言い出した。
「な、なに言ってるの」
「わかるよ、ずっと成瀬のこと見てたから」
思わずドキッとしたのは、いつも冗談しか言わない今野くんが真剣な顔をしてたから。
「俺だったらそんな顔させない」
固まっていると、そばまできた今野くんがわたしの手を握ってきた。



