「俺のこと知らない?」


「あ、お名前だけは昨日知りました……」


「昨日……?」


まるでそれが不服だと言わんばかりに、美少年の眉間に深いシワが刻まれる。


「すみません、わたし、疎くて……」


「へえ、ちかのことしか頭にないって感じなんだ?」


「え……?」


「あいつがご執心な様子だから、どんな子かと思って期待してたのに、めちゃくちゃ普通でかなり残念」


そう言いながら肩をすくめる水谷くん。


ズケズケと容赦ない言葉が凶器のように胸に刺さって、弱りきった心にかなり痛かった。