柚の家から帰宅して、抜き足差し足忍び足で千景くんの部屋の前を通って自分の部屋へ。


忙しい千景くんのことだから部屋にいないと思うけど……。


立ち止まり、じっと千景くんの部屋のドアを凝視する。


今頃、なにをしてるんだろう。


もしかすると、婚約者さんと一緒にいるのかも。


お祭りにも行くほど仲良しなんだもんね。


腕、組んでたし……。


──ズキン


やめやめ、そんなことを考えても苦しくなるだけだ。