「ご、ごめんねっ!」


「いや、全然。大丈夫?」


「うんっ、わたし、チビだから……ごめん」


「謝る必要ないよ。俺、成瀬くらいの身長の子って、好きだし」


今野くんは照れたように頬をかいて、小さくはにかんだ。


「そっか、今野くんって小さい子がタイプなんだ!」


「タイプっていうか、まぁ……うん。それよりなに食べる?」


うまく濁されたような気もするけど、それはいいとして。


屋台にぐるりと目を向けたけど、特に食べたいものはない。


というよりも、食欲がなくてお腹が空かないだけなんだけど……。


「今野くんが食べたいものでいいよ。わたし、お昼食べすぎちゃってあんまり入らないかも」


他愛もない話をしながら、たこ焼きの屋台の列に並んだ。


千景くんはなにが好きかな。


たこ焼き?

焼きそば?

ベビーカステラ?

りんご飴?

イカ焼き?

唐揚げ?

それとも、かき氷?


なんて、わたしってば今野くんといるのに千景くんのことばっかり考えてる。


千景くんを想うと胸が締めつけられて苦しいのは、どうしてかな……。