学校に着いてからも気分は浮かなくて、お昼休みも笑って過ごせる気がしなかったので今日は別々で過ごすことに。
「どうしたの? ずっと元気ないじゃん」
蒸し暑い屋上のベンチに柚と並んで座る。
朝ほとんど食べられなかったのに、お昼になってもお腹が空かないなんてよっぽどだ。
季節はもうすっかり梅雨で、ジメジメとした鬱陶しい空気が肌にまとわりつく。
「なにかあった?」
「ううん、何もないよ」
「そう? あ、来週のお祭りなんだけど東条くんに誘われたんだよね〜。2人だとちょっとあれだから、綾乃も桐ケ谷誘って一緒に来ない?」
「お祭り?」
「うん。この辺で一番大きなお祭りがあるの。屋台もズラッと並んで、花火も上がるんだ。一緒に行こうよ」
もしも、昨日の話を聞いていなかったら、まちがいなく千景くんを誘っていた。
でも……。