「誰かに移した方が早く治るっていうし? 綾乃の風邪なら、もらってもいいかな」 指先がそっと頬を撫でたとき、ふと脳裏によぎった柔らかい感触。 たしか、朝……。 熱でボーッとしてたけど、頬にキスされたような……。 きゃあああ! 「試してみる?」 クスッと笑う千景くんから目が離せない。 確実に体温が上昇したのがわかって、唇をギュッと噛みしめた。 「なーんて、冗談だよ。本気にした?」 「も、もう……っ!」 なんで、そんな冗談……。 またからかって遊んだだけ?