「綾乃の寝顔見てたら、離れにくくなってさ」 なんて言いながらあくびを噛み殺しているのんきな千景くんは、動揺している素振りなんて微塵もない。 やっぱり……慣れてる。 これまでにも女の子と朝を迎えるような日があったってこと……? ──チクッ ……胸が痛い。 考えるの、やめよ。 「おはよう」 なんでそんなに爽やかに笑っていられるの? わたしは心臓がバクバクしすぎて潰れちゃいそうだってのに。