千景くんはあれからものすごくわたしの心配をしてくれて、気にかけてくれてるし……。 ただのかすり傷だから、全然大したことないのに。 「ありがとう、ごめんね。治療費のことは気にしないで」 「綾乃……あんたの解釈、絶対まちがってると思うよ」 「えっ?」 柚に耳打ちされて、わたしは首をかしげた。 「ま、それが綾乃よね。さ、残りのパンも食べよーっと」 誕生日の話はどこへやら。 東条くんは廃人のようにガックリと肩を落としている。 それ以降、東条くんが柚を誘う様子は見受けられなかった。