「綾乃……!」 涙を拭ったとき、騒がしい足音と共に大きな声が響く。 千景、くん……? 「綾乃! いたら返事してっ! 綾乃!」 走ってわたしの名前を呼んでいる千景くんの声が資料庫の前から遠ざかっていく。 待って……。 「千景、くん……」 行かないで! どうしよう、震えて小さな声しか出ない。 もっと大きな声を出さなきゃ、わかってもらえないのに……。