「来月の頭に修学旅行でしょ?それでこの間班決めしたじゃん。
その時に同じ班になれたの!!奇跡だと思うよね〜..新学期早々いいことがありすぎて
..5月のうちに運がつくねきっと。」
キラキラした目で語っていたが段々と重くなっていく。百佳と歩瑚は
「そんなことないよ!」
「運なんて来月更新されるもんだから!!」
と励ましていくが、段々とマイナス思考に陥っていくのが愛寧だ。
愛寧はネガティブなのかポジティブなのか分からなく、振り幅が大きい。
ドンドンこれからの事をマイナスに考えていく。
「...きっと、修学旅行で愛寧の性格が藤平さんにバレちゃうんだ。
そしたら、藤平さんは愛寧を引いて...
今までは会話し始めたらずっと続くのに、きっと気まずくなって線を引かれてくんだ..」
目に涙を浮かべ始めたのでみんなは慰めたいが、今は何を言っても愛寧にとってはマイナス思考を広げる素材にしかならないだろう。
そんな時、ドアがノックされた。美優が誰か確認すると誠と航平がたっていたのだ。
「あっと...今、愛寧ちゃんいる?」
「え、う、うん!!ちょっと待ってね!!」
美優はドアを閉めると、愛寧に駆け寄り肩に手を置き、思い切り揺らした。
「泣かないで!!外に愛寧ちゃんの王子様が待ってるよ!!行ってきなよ〜」
「うわ!!..え?藤平さんがいるの??」
揺すられてバランスを崩したが、目に浮かんでいた涙はなくなっていた。
「なんか東と一緒にドアの外にいたよ?なんで来たのかは知らないけどね?とにかく、行ってきなよ!!」
「チャンスだ!ここで一気に距離を縮めちゃえ!!」
「何それ〜..も〜、やだな〜」
口ではい嫌そうなことしか言ってないが、顔は緩みきっている。みんなに見守られながら外に出ていくと、入れ替わって誠が入ってきた。
『東ナイス!』
「さんきゅ!」
わぁっとみんなが拍手をして誠を迎えた。そして、ことの事情聞く。
「俺らが音楽室で話してたら藤平が来たんだよ。サボりかって聞いたら、サボりじゃないって言われてよ」
《回想》
「失礼します...」
「あれ?藤平じゃん!何しに来たの?もしかしてサボりか?」
「なわけねぇだろ」
と手に持っていたノートでパシンと誠の頭をはたく。
「いってぇ〜!!」
大袈裟に痛いふりをする誠はノートの名前に欄を見ると、ニタァと笑った。
「ほぉ、藤平ぁそれお前のノートじゃねぇな!」
「お、おう。これ桜田のなんだよ」
「なぜ、愛寧ちゃんのノートを持っているんだーい?」
「休み時間ににミッチーとふざけあててノートが桜田の机の上にばらまいちゃたんだよ。直す時に一緒に入ってたみたいでさ。さっき気づいたんだよ。」
「へぇ、ミッチーって三日月海斗|《みかづき かいと》君でしょ?名前だけしか知らないけど(ミッチー、グッジョブ)」
「そう。ところで桜田はいないの?」
「ああ、愛寧ちゃんは女子達とガールズトーク中だと思うよ?」
「桜田の所まで案内してくれるか?」
誠が"愛寧ちゃん"と言うのが気に食わないのか、"桜田"を強調して言う。
誠はそれに気が付き、ニヤニヤしながら藤平を見ていた。
(これは、いわゆる両片思いみたいなもんじゃない?)
愛寧以外に伝えよう決めたところで、もう一度藤平を見る。ほんのり頬がピンク色になっているので間違いないのだろう。
「はいはい。後でゴリゴリ君ね?」
「うわ、奢らせんのかよ」
「当たり前じゃん」
《回想終了》
「と、言うわけで連れてきたって訳!」
話終わると全員がニヤニヤしている。そりゃそうだろう。もう、部の全員が見守っている恋だ。
全員が子供見守る母親の気持ちなんだろう、愛寧が帰って来てからのいじりが楽しみと全員の表情が語っていた。
