変愛中

「何話したの?」


デートに誘われたことに浮かれていた愛寧の横に、天井と誠が戻ってきた。

「あっ!天井〜!!と東。」

「なんだよ、2人にしてやったのに付け足し感満載じゃん」


「うるさい〜!!」


ニヤニヤと笑っている誠の脛に蹴りを1発入れる。誠は痛そう脛を抑えてしゃがみこんでしまった。

喜びを隠せずに天井にデートに誘われたことを話す。

「あのね〜..日曜日に出かけないかって..!!」

「うへへ〜!!それはそれは〜...ごちそうさまです〜!!」

自分のことのように喜ぶ天井は本当に良い奴ではあるが、気持ち悪いくらいの笑い声は興奮してるポイントだ。

「日曜って次の?」
「そう!」

「...ふーん」

「何??なんかあんの?」

「別に。なんもない!」


考え込んだ誠に疑問を持つが、何も答えてくれなかった。聞き出そうとすると、「なんでもない」とかわされてしまう。



誠の反応が気になりつつも、あっという間に部活の時間になる。

いち早く音楽室の鍵を開けると、胸いっぱいに空気を吸って吐き出す。


「うわああああああああ!!!やばーーーーーーーーい!!!」


「航平さんが好きーーーーーーー!!」


全力で叫び散らすと、窓を開けてサッカー部の姿を探す。

「あいね、ちゃ...ん..ぶふぉっ...」


爆笑して入ってきたのは、誠と百佳、2人ともさっきの叫びを聞いていたのか、笑いながら入ってきた。


「ダーリン!!」

「ハニー!」

ダーリンは百佳のあだ名、ハニーは愛寧にあだ名。このふたりだけで呼んでいるあだ名だ。

感動の再会のように抱きしめ合うと、愛寧は百佳の耳に口を近づけ、コソコソと何かを言った。


「えー!!おめでとう!!」


「ありがとう!」

えへへっと可愛らしく笑い、百佳と手を繋いでグルグルと回り始めた。


「ちょー楽しみ!!日曜日何着ていこうかな..??」

「藤平は、ちょっと清楚めのかわいい服が好みだぜ♡」

誠は口元に手を当ててニタリと笑う「あいつ、むっつりだし」とも付け加えた。


(清楚系か...持ってるかな)


頭の中でクローゼットの中を漁り清楚系を探してみるがない。

「the清楚系なんてない.....」

服がないことにあからさまに落ち込むと、百佳が声をかけた。

「一緒に買いに行こうか?」

「ももちゃんっ!!!」


大好きっ!

と百佳に抱きつき誠も調子に乗って便乗する

「俺もい一緒行ってやろっか?」

「「却下」」

「えー?俺藤平から情報聞き出せるんだぜ?有能だよ??」


「ダメ。女子会なんだから」

「「ねー!!」


「ハイハイ。左様でございますか。後悔しないデートにしろよ!!!ちくしょう!ゆーきくん♡構え!!」






声を合わせてキャッキャッとはしゃぐ女子には勝てない。そう判断した誠は捨て台詞をはいて優琴にウザ絡みをしに行った。