上司は優しい幼なじみ

「あの…山本さんとたっくん…係長に何があったんですか?」

その言葉に半田さんは少し驚いた顔を見せる。

「あの二人付き合ってたの、知ってたの?」

「一応…彼本人から聞きました。でも付き合ってたって事実だけで、何があったとかは一切」

「岡田さんてさ…」

言いかけたところで再び枝豆に手を伸ばす。
私はその様子をじっと見つめていた。

「岡田さんて、大川のこと好きでしょ?」

「…えっ!?」

思わぬ言葉に箸を落としてしまった。
半田さんは笑いながら「大丈夫か?」といい新しい箸を渡してくれた。

「すみません…」

「いやいや。やっぱそうなんだねー。だとしたら、聞かないほうがいいかもよ?」

「どうして…ですか?」

二人の過去、すごく気になる。
もちろん聞きたくない事実もあるかもしれない。
だけど、それ以上に、私の知らないたっくんの過去があることが、なんだか寂しかった。