上司は優しい幼なじみ



とぼとぼと駅までの道を歩く。

プレゼンは、案の定良い反応はもらえず、微妙な空気で終わってしまった。
改めてこの部署の大変さを痛感する。
新商品を考え、それを発表するとことまではできても、上司たちの指摘に的確に応え、倍の内容で返すことができないと商品化には至らないんだ。
ずっと大好きだったフリースタイルの商品。私が持っている物のみならず、毎シーズン新しく生み出される商品は、たくさんの人たちの努力と悔しさ、喜びの結晶なんだ。

「まだまだだな…私」

ぽろりと口から言葉が漏れる。

「岡田さん!」

急に呼び止められ、声のするほうに顔を向けた。

「あれ?半田さん?」

通り道のコンビニから出てきた半田さんは、片手をあげこちらに歩いてくる。

「よ!お疲れ~」

「お疲れ様です。今日は電車ですか?」

半田さんは車通勤と聞いていたから、駅手前のコンビニにいるのを不思議に思った。