上司は優しい幼なじみ

「こ、今回、私が提案したいのは、軽量素材のローテーブルです」

まずい、緊張で声が上ずってしまった。
パワーポイントを操作する手が震える。

「一人暮らしの女性をターゲットとしています。フリースタイルは元々一人暮らしの女性向けの商品が多いですが、大型家具に関しては、ファミリー層に偏っていると分析しました。そこで、女性でも選びやすい、軽量素材のテーブルを提案します」

必死に作り直したパワーポイントを表示させながら、細かい説明を入力したA4用紙を適宜見て進める。
時々言葉を噛みながらも、その度に心を落ち着かせるようにした。
会議室には私の声と、あらかじめ全員に配った資料をめくる音だけが響く。


「…以上です。ありがとうございました」

何とか私のターンを乗り切り、深々と頭を下げた。
問題はここからだ。山本さんからは前々から聞いていたけれど、プレゼンは発表が終わった後の質問攻めが辛いらしい。
自分ではしっかり詰めたはずでも、まるであら捜しでもするかのように細かく突っ込んでくるとのことだった。