上司は優しい幼なじみ

企画を任され、最初は気合十分だったのに、最後の最後は勢い任せにまとめてしまった。
土台はしっかり作ったつもりだ。あとは本番当日の自分に託そう。


プレゼン当日。山本さんの復帰は間に合わなかった。
心さみしく思う気持ちや、熱心に仕事に向き合う彼女の姿を見ていたから残念に思う気持ちがありつつ、今彼女と顔を合わせてもどう話したらいいかわからないから安堵する自分もいたり、とても複雑な気分だった。

時間前に先に会議室に入り、画面の準備をする。
ぞろぞろと人が集まってきて、たっくんの姿も目に入った。
一人で準備していた時は落ち着いていたけれど、時間が近づくにつれて心臓がバクバク動きだす。

この場を仕切るのは、日高部長だ。

「それじゃあ岡田さん。緊張すると思うけど、頑張って」

ごくりと唾を飲み込む。
日高部長の隣に座るたっくんに目をやると、優しい表情で頷いてくれた。