上司は優しい幼なじみ


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あれから何かもうまくいかない。
それまで問題なくできていた業務のケアレスミスが目立つようになった。
プレゼン資料もあともう少しで完成だから一気に進めたいのに、自分のミスの後処理に追われ、なんとも勿体ない時間の使い方をしてしまっている。

ここ最近、業務中のため息が止まらない。

プレゼン用のパワーポイントを大画面で表示し進み具合を気にしつつ、別ウィンドウのシステム内を修正していく。

黙々とキーボードを叩いていると、たっくんに呼ばれた。

「何か御用でしょうか…」

しばらくまともに会話できておらず、仕事でも緊張する。
彼は少々気難しそうな表情を見せた。

「最近ミスが続いているみたいだけど…そんなのでプレゼン大丈夫?」

決して怒っているようではない。
だけど、私を見るその目にいつもの穏やかさはなかった。

「申し訳ありません…気を引き締めます」

深く頭を下げ、席に戻る。

結局この日も残業で、なんとかプレゼン資料を作り終えた。