上司は優しい幼なじみ

「あの、山本さんて…」

’たっくんとどういう関係?’

「ん?」

喉のギリギリのところまで出かけた言葉を飲み込んだ。
ただの幼馴染にそんなこと聞かれても迷惑だよね。

プレゼンが終わったら告白したいという気持ちが迷い始める。
私でもわかる。たっくんと山本さんは、ただの同僚ではない。
少なからず過去に何かあった。そう思った。

「私、先に戻ります!プレゼンの資料、途中なので!」

「え、今から?」

今はたっくんの顔を見ているのがつらくて、逃げ出すように走り去った。
途中で、ここは病院だということを思い出し、スピードを緩める。

時計を見ると19時を過ぎている。今から戻って作業を進めるにしても、そこまで長い時間は使えないだろう。
とりあえず今日はレイアウトを整えるところだけ修正して、残りは明日以降にしよう。