上司は優しい幼なじみ



「…過労、ですね。睡眠不足と栄養失調です。点滴していますので、しばらく安静にしていれば大丈夫でしょう。ひとまず今日はこのまま入院していただきます」

病院に運ばれた山本さんを診てくれた医者のその言葉に、私たちはほっと胸をなでおろした。
山本さんが過労。バリバリと楽しそうに働いているように見えていたけれど、体への負担はとてつもないものだったんだ。

医者が私たちの前から立ち去ると、たっくんは急に力が抜けたかのようにソファに座り込んだ。

「たっくん、大丈夫?」

私も隣に座り、下を向くたっくんの顔をそっとのぞき込んだ。

「前も…あったんだ。会社で過労で倒れたこと」

「え…」

するとたっくんはふと我に返ったかのようにぱっと顔を上げた。

「あ、いや…山本さんって、めちゃくちゃ仕事できるけど、自分の体調の変化には気づきにくいみたいで」

呼び方、元に戻っている。