上司は優しい幼なじみ

隣の山本さんが、迷うことなく後に言葉を続けた。

「もちろんです。EC事業部発足後、うちが関わる初めての大きなプロジェクトですもの。参加しない理由がありません」

そう言う彼女の横顔は、希望と情熱に満ち溢れているように見えた。
慌てて私も「やります!」と元気よく返答すると、たっくんは微笑んだ。

「よし、じゃあまた次回のミーテングスケジュールを調整したら共有します」

その言葉を合図に、メンバーはぞろぞろと会議室を出ていく。
山本さんに先に戻ってもらい、他のメンバーが全員退室するのを待った。

たっくんはまだ座った状態で、キーボードを叩いていた。

「あ、あの…係長」

「ん?」

しばらくキーボードを打ち続け、きりがついたようなタイミングで顔を上げた。