上司は優しい幼なじみ

「あ、よかった。ちゃんと無事についてたんだね」

会社でしか会っていなかったから、大人になってからはスーツ姿のたっくんしか知らない。
だけど今日は、スーツでびしっと決めている姿とは違い、ロングTシャツにデニムといったラフな姿だった。
髪型も、いつもはワックスで掻き上げているけれど、今日はおろしている。

オフのたっくんを目の前にし、鼓動が高鳴った。

「ど…どうしたの…?」

「昨日あんな状態だったから心配で。でも連絡先知らなかったからさ」

それでわざわざ来てくれたの?

彼の優しさが身に染みる。
どうしてそこまでしてくれるのだろう…

「上がりますか…?」

立ち話もなんだし、と部屋に招き入れた。
部屋は普段からそれなりに片付けてはいるけれど、テーブルに置かれた食べかけのアイスの存在に気づきあわてて冷凍庫に隠した。