上司は優しい幼なじみ

「陽菜、飲みすぎ。こういうことあるんだから、ちゃんと自制心持たないと」

「…ごめんなさい。でも、ありがとう」

急に力が抜け、たっくんの胸元に倒れこんでしまった。

「おっと。本当、大丈夫か?」

ふんわりと香る、いい匂い。これは香水…?
がっしりしていて硬い胸元だけど、とても温かい。

「たっくん…好き…」

「…え?」

しばらくして、自分が何を言ったのか理解した。
顔が熱くなるのがわかる。
慌ててたっくんから身を離した。

「あ!違うの!実はたっくんが私の初恋で、それを思い出して思わず…!だから気にしないで!当時言えなかったことが何故か今ぽろっと出ちゃったというか!」

こんなに早口で弁明しているけど、たっくんの顔を一切見れない。
どんな表情をしているのだろう…

恥ずかしくなり、トイレに行きたいことも忘れて小走りで席に戻った。