上司は優しい幼なじみ

トイレは男女別と、男女兼用の3つあった。
すでに男性一人が並んでいて、その後ろで待つ。

頭がくらくらするけれど、なんだか気持ちがいい。
しばらくお酒飲まない間に体質がかわったのか…

急に体がふらつき、壁に激突する。

「い…たぁ」

気づくと前に並んでいた男性の手が私の体に触れていた。

「君かなりふらふらだけど大丈夫?」

「あ…大丈夫です…すみません…」

体を離すが、また触れてきた。

「大丈夫じゃないでしょ。帰ったほうがいいよ、俺が送って行ってあげる。家、どこ?」

ぐっと体を引き寄せられ、密着する形になってしまう。
頭が鈍っている状態でも、さすがにこの状況はまずいと察した。

「あ、あの…」

強く押し、体を離そうとするものの、酔いもあり力が全く及ばない。

「…陽菜」

気づいたら男性が誰かに引き剥がされていた。

「たっくん」

男性は軽く舌打ちしてその場を去る。
再び私と向き合ったたっくんの目が笑っていない。