上司は優しい幼なじみ

「係長」

たっくんは手を止め私を見上げる。

「今回の店舗周りの報告書です。ご確認お願いします」

「うん。お疲れ様。店舗周り、どうだった?うちの部署では山本さんに頼んでいる特殊な業務だから、今後一人で任されたりすることはないと思うけど」

差し出す報告書を受け取りながら彼は言う。

「現場への目の付け所とか、すごく勉強になりました」

「それはよかった。一緒にやっているうちに、いろいろ学ぶといいよ。山本さんみたいになれとは言わないけど、吸収できるとこは吸収してみて」



あれから私は、目指せ山本さんをスローガンに、自分なりにしっかりと仕事に向き合うことにした。
商品企画部である以上、新しいアイデアが必要になってくる。
世間は何を求めているのか、それをどううちのブランド力と掛け合わせ、形にしていくのか。

フリースタイルは主に一人暮らしの女性をターゲットに商品を展開している。
現在一人暮らしをしている自分は、消費者目線で何があると嬉しいのかを考えながら生活するようになった。

まだ何かを任されているわけではないけれど、土台作りの為の意識だ。