上司は優しい幼なじみ

会社に戻り、山本さんと一緒に報告書をまとめる。

「本当はね、商品企画が一番やりたいことなんだけど、今日みたいに現場の視察をして改善していくのも好きなの。でもどちらも同じ裁量でやっていくのが難しいから、今の立ち位置が私には一番なの。店舗周りで感じたことを上に報告するところまでが私の仕事。そこからどう改善させていくかは上の判断でもある。だから、私の意見が次の店舗周りで反映されていると、すごい嬉しいんだ」

常に最善で最良を目指す彼女の強さに、自分と比較してしまう。
いくら歴が違うからとはいえ、私が山本さんの年齢になったとき、一体自分はどのように働いているのだろうか。

色々思いを巡らせていると、キーボードを叩く手が止まっていた。

「岡田さん、大丈夫?どうかした?」

「あ、いえ。すみません」

すぐ画面に向き合い、再び集中する。
完成した報告書を印刷し、山本さんの指示でたっくんに提出しに行く。