上司は優しい幼なじみ


会社から一番近い店舗に向かう。
首都圏で3番目の大型店舗だ。
ショッピングモール内に構えるその店舗は、休日にはファミリーが多く訪れるとのことだ。

「あ、奥村店長~。お久しぶりです」

「山本さん、お疲れ様です」

山本さんの一歩後ろに立つ私をちらっと見る。

「彼女、商品企画部に入社した岡田さんです。私が教育係で、今日は店舗周りに同行してもらっています。こちら、店長の奥村さん」

「岡田です。宜しくお願い致します」

「よろしくお願いします。山本さん、仕事できるでしょ?彼女すごいんだよー」

店長からもお墨付きの山本さん。
誰から見ても完璧な人なんだ。

その時間にシフトに入っているスタッフ何人かに挨拶し、山本さんと店舗内を見て回る。
商品の陳列、在庫状況、レイアウトだけではなく、清掃がきちんとされているかなどくまなくチェックしていく。
お客様とすれ違う時には「いらっしゃいませ」と邪魔にならないように道をあけたり、気配りまでも完璧だ。