上司は優しい幼なじみ

「最近はどう？嫌なこととかない？」

今は俗にいう繁忙期というやつだ。
次のシーズンの切り替わりに向けて新商品の企画を進めているところ。

たっくん自身も忙しいだろうに、こうして私のことを気にかけてくれる。

「毎日忙しいですけど、学ぶことばかりで楽しいです。私、山本さんについていろいろやっていて、山本さん、すごい熱心な方だなーって思ったんです」

仕事に対しての向き合い方がとても尊敬できる。
私もこんな女性になりたい。まだまだ程遠いけれど。

「…そうだね。彼女はすごいよ。考える時間を惜しまない。常に新しいものを生み出そうとしている。本当、すごい人だよ」

静かな空間にたっくんの声が響き渡る。
気のせいかな？以前、車で送ってもらった時に感じた影が、あの時よりも濃く感じた。

でもすぐにその影は消え、たっくんは話題を変えた。