上司は優しい幼なじみ

「でも…私はフリースタイルの商品が好きだから、似たものが安く手に入ろうと、これからもフリースタイルで買い続けると思います。フリースタイルには、そんなブランド力があると思うんです」

私は素直に、本音を口にしたつもりだった。
気づくとフロアがシーンとしている。

周りで何かが起きたのか、はたまた私自身が変なことを言ってしまったのか、状況が呑み込めずきょろきょろ辺りを見渡す。

「お客様に一番近い存在の社員がいるのは素晴らしいことだ。お客様目線になれる。この会社のファンで入社した人たちはなおさら、初心を思い出そう。ですよね、部長」

シーンとした空気を破ったのはたっくんだった。
その言葉に日高部長は「あぁ、その通りだ」と続ける。

再びフロアがざわざわし始めた。沈黙はあの一瞬だけ。

「山本さん…私、変なこと言いました?」

恐る恐る尋ねると、山本さんは私の肩に手を置いた。