上司は優しい幼なじみ

「お疲れ様です」

「あ、お疲れー。変なこと聞くけど岡田さん、商品の企画で大事なことって何だと思う?」

戻って早々、突然の専門的な質問に戸惑った。
鈍る頭を必死に回転させる。

「えっとー…コストと機能性のバランス…ですか?」

「それもあるけど…私が思うのは、いかに競合他社と差別化できるかよ」

そう言ってPCを指出した。
画面をのぞき込むと、そこには大手企業の生活雑貨店のオンラインサイトが表示されいていた。

「これ、前にうちが出した商品と似てるのよー。別に模倣とは言わないけど、この企業も大手でしかもうちよりも低価格なの。みんなそっち買いたくなるよねー」

よく見ると、映し出された商品は私も持っている物だった。
正確にはこの会社ではなく、うちの商品だけど。

「本当だ…似ていますね」

「あー。アイデア振り絞って商品企画しても、やっぱりどこかで似たものって存在しているし、続々と出てくるのよねー」

山本さんは珍しく頭を抱えている。
そんな彼女に、私は素直に思ったことを伝えた。