上司は優しい幼なじみ

フロアに戻ると、日高部長が神妙な面持ちでたっくんに声をかけた。

「さっきカスタマーサービス部から連絡があって、先月末に出した新商品のフェイクフラワーが、色移りが酷いってクレームが何件もあるらしい。企画を担当したメンバーが急遽打ち合わせに呼ばれたよ」

まいったといった表情で頭をかく日高部長。
たっくんは冷静な表情を崩さなかった。

「商品の回収は?本部からの指示待ちですか?」

「おそらく店頭に並んでいる商品はいったん引き下げることになるはずだが…またこういうことが起きちゃなぁ」

「よくあるんですか…?」

「たまにね。そのたびに改善して次の商品に繋げてはいるんだけど…岡田さんは自分の仕事に戻っていいよ」

話の行方が気になりつつも、自席に戻った。
山本さんはすでに仕事にとりかかっていた。