上司は優しい幼なじみ

「ん、何か色々事情ありそうだから、気になるし。いいよ?てか陽菜ちゃん、メガネ珍しいね。伊達?」

「ありがとう!うん、ま、まぁそんなところ~。私なりのおしゃれ?」

真由美ちゃん越しにたっくんが戻ってくるのが見えた。
一瞬こちらを見た気がしたが、すぐに逸らされ気のせいだと言い聞かせる。

「じゃあ、よろしく」

「おっけい」


自席に戻り、PCを立ち上げ毎週更新される社内掲示板を開いた。

---家具専門店、海外事業展開についてとそれに伴う辞令

今朝更新されたばかりのトピック。
昨日話を聞いたばかりなのに、もう発表されるんだ。

きっと随分前に社内で話はまとまっていたのだろう。
じゃないとこんなにすぐに情報開示されるわけない。

ということは、たっくんはギリギリのタイミングで私に話したんだ。

その事実に更に気分が落ちる。


リンクを開き、事業展開のビジョンやブランド名について長々と書かれている。

「へぇ、オーストラリアなんだ」

’Y.O.S’

-Your Own Style ~あなただけのスタイル~ -

「独自性、多様性の尊重…か」

商品ひとつ生み出すのにもたくさんの時間と労力を使うが、ブランド名を決めるのにもきっと多くの人が携わり、時間をかけて決定するのだろう。
新しく生まれるブランドの初期メンバーとして、たっくんが選ばれた。凄いことだ。